Concept App / UX・UI / PWA / AI Assisted Development
輪郭回復プログラム
日々の感覚を短い言葉で記録し、「私はどこで消え、どこで戻ったか」を観測するコンセプトアプリ。
評価や達成を急かさず、自分の気配へ戻れる記録体験を設計しました。

01
作品について
輪郭回復プログラムは、日々の感情や小さな発見を記録し、あとから自分の気配を見つけ直すためのコンセプトアプリです。
自己分析によって自分を説明するのではなく、
「今日、私はどこにいた?」
という問いから、その日に心が動いた場所を残します。
感情整理や自己改善のためではなく、「私はどこで消え、どこで戻ったか」を観測するための記録です。
02
記録を、もう一つの評価にしない
習慣を続けるためのアプリには、継続日数、達成率、目標などが置かれることがあります。
けれど、自分の感覚を取り戻すための記録まで、できたことや成長の証明にしてしまうと、記録そのものが新しい評価になります。
このプログラムでは、前向きな変化を求めません。
何もできなかった日も、輪郭がぼやけた日も、心が少し動いた瞬間があれば、そのまま置いておける体験を目指しました。
参考にしたのは、野鳥観察の記録の取り方です。鳥を見つけたら、まず「いた」とだけ書く。なぜそこにいたのかは、その場では考えません。
解釈は、観測が重なったあとに生まれます。解釈を先に置かないことが、このアプリのいちばん大きな判断です。
03
感覚を残すための体験設計
記録するときは、「感情」「発見」「家事」「ゆとり」「欲しい」など、その日の感覚に近いカテゴリを選びます。
次に、今の輪郭を−3から+3の幅で記録します。
輪郭は、くっきりしているほどよいものではありません。
にじんでも、くっきりでも、そのまま。
数値で自分を評価するのではなく、今日の状態に仮の目印を置くための尺度として設計しました。
最後に、「今日の空の色が好きだった」のような、心が動いたことを短い言葉で残します。
04
あとから見つけ直す
記録した内容は、書いて終わりではありません。
「記録」「ふりかえり」「さがす」「残像」という導線を通して、過去の言葉へ戻れる構造にしました。
そのときは意味が分からなかった感情も、時間が経ってから別の記録とつながることがあります。
答えを出すためではなく、自分の中に残っていたものを、あとから見つけ直すための設計です。
05
残像 ── 途切れた日を、責めない
記録が途切れることは、必ず起きます。
多くのアプリは、そこで連続日数をゼロに戻します。このプログラムでは、途切れた次の日に、それより前の記録の中から、いちばん心が動いたものを一つ、うっすらとした濃度で表示します。
責める代わりに、戻ってこられる場所を置きました。
過去の記録は、七日前・一月前・一年前の同じ日にも現れます。時間が経つほど、表示は淡くなります。七日前ははっきりと、一年前はほとんど消えかけた濃さで。
記録がまだ足りないときは、こう表示されます。
まだ残像はありません。記録が季節を巡るころ、ここに現れます。
空の画面に「データがありません」と出さないことも、設計のうちだと考えました。
06
言葉と画面の設計
画面は、利用者を励ましたり、分析したり、行動を促したりしすぎないことを基準にしました。
入力項目を絞り、余白を広く取り、肌や紙に近い色と控えめな光で構成しています。
言葉も、アプリ側が意味を決めないようにしました。記録された感情を解釈するのではなく、その人が自分で見つけ直せる場所として、画面と言葉を設計しています。
記録は、この端末のブラウザの中だけに保存されます。外部へは送信しません。正直に書ける場所であることが、観測の前提だと考えました。
記録の読み込みも、既存のデータを上書きせず、重複しないものだけを加えるマージ方式にしています。記録を失わせないための技術判断です。
07
制作の範囲
コンセプト設計/情報設計/体験設計/言語設計/UX・UIデザイン/PWA実装/AIを活用した制作
08
現在地
記録/ふりかえり/さがす/残像/設定の5つの画面を、動作するPWAとして実装しました。
ホーム画面に追加でき、オフラインでも起動します。ふりかえりでは、ヒートマップと週次・月次のリズム表示で記録の推移を見られます。検索は、キーワード、カテゴリ、本文中に書いた #タグ から横断的に行えます。記録はJSONで書き出し、マージ方式で読み込めます。
現在は、自分自身で使用しながら検証中です。
RINKAKUの思想である「自分の輪郭を削らず、自分の側へ戻る」を、日々使える小さな体験へ置き換えたプロジェクトとして、継続して設計しています。

